2025/10/16 19:45

10月上旬、10年ぶりの中国へ行ってきました。行き先は厦門と上海。厦門は初めての訪問、上海は10年ぶりの訪問です。今回の出張の目的はずばり

いま中国で新しく注目されている「新中式茶館(しんちゅうしきちゃかん)」を実際に体験すること

この新中式茶館とは、伝統的な中国茶文化をベースにしながら、空間デザインや提供スタイルに現代的な要素を取り入れた新しい形の茶館のこと。台湾でもこのスタイルの茶館が増えつつあり若い人の間では受け入れられているが、中国では「オープンしてもすぐに閉店してしまう」と言われるほど競争が激しく、今なお残っているお店にはそれぞれ強い個性と工夫があるのだとか...

今回そうした茶館をいくつも巡りながら、どんな空間が人を惹きつけ、どんなお茶体験が心に残るのかを自分の目と舌で確かめてきました。空間の香り、照明のやわらかさ、茶器の素材感、そして店員さんの一つひとつの所作まで、どれも印象的で「お茶の時間をどうデザインするか」という点でたくさんの学びがありました。

10年ぶりの中国がどこからどこまでもIT化されていた

久しぶりに訪れた中国で最も驚いたのが、携帯がないと生きていけない街並みになっていたこと。支払いは基本的にWeChat Pay もしくはAlipay。現金で受け付けてくれるところもあるものの基本的に全てキャッシュレスとなっていました。コインランドリーや自販機も基本的にモバイルでの支払い。またお店での注文も卓上のQRコードをスキャンしてモバイルでオーダー、決済。エコシステムがWechat, Alipayを中心に全て完結しているので基本的にアプリも1つしか開かないという現状。これは企業の一極集中を免れないのではと思いつつ、めちゃくちゃ便利な世の中になったなぁあと思いながら、フードデリバリーや自転車のレンタルをしながら街並みを散策していました。ホテルでのフードデリバリーではなんとロボットが届けてくれて、それはそれで可愛らしい。

便利さの一方で、景気の停滞や貧富の差の広がりも感じ、華やかさの裏にある現実も見えたというのも事実。マッサージでたまたま隣に座っていた方やお店で相席した人、茶商との雑談でここ数年景気が停滞気味で倒産した会社が結構あるのだとか...日本で中国の方をたくさん見かけるようになったけれども、それはほんの一握りの人なのだと改めて認識しました。

廈門の街並み。どこかシンガポールみたいと思っていたらイギリスの租界地でしたね

今回訪問した新中式茶館やティースタンド、お茶関連のブランド

BASAO, 弓 GONG, 一樹一葉, 观夏, 開吉茶館, CHAGEE etc...

それぞれのブランドには、異なる世界観とお茶への解釈がありました。静かにお茶と向き合う場所もあれば、日常の延長でカジュアルに楽しめるスタンド形式もあり、「お茶を飲む」という行為や「お茶を纏う」という行為まであり、生活のリズムの中に自然と溶け込んでいるのを感じました。

どのお店にも共通していたのは、“お茶を基軸にしたライフスタイル”が確かに存在しているということ。お茶は単なる飲み物ではなく、香りや時間、空間を通じて「心を整える文化」として根づいていました。

廈門の中山路にあるCHAGEEさん。ティースタンドは世界中に6000店舗以上もあります。日本にも欲しい...

一方で、日本ではまだそうした感覚に触れられる機会は限られています。だからこそ私は、お茶を中心にしたライフスタイルブランドを作りたいと強く思っています。台湾や中国で見てきたように、お茶が人の暮らしの真ん中にある風景、それを日本でも少しずつ形にしていけたらなあと。お茶のある時間が、誰かの日常を少し豊かにする。そんな未来を思い描きながら、今回の旅は私にとって大切な原点を思い出させてくれる時間になりました。

今回訪れた茶館やティースタンドでの体験や印象に残った空間づくりについては、今後noteでも詳しくご紹介していく予定です。よかったら、そちらものぞいてみてくださいね。

また今回の出張ではアンティークの茶器も買い付けて参りました。来週10月20日 (月)から新商品を順次公開して行きますので楽しみにお待ちくださいませ!

街中に自分の小さな茶館のスペースがあちこちに

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