2025/03/21 18:00

先日のブログ「中国茶を本格的に楽しむために: 紫砂壺の特徴と適したお茶」では、中国茶を本格的に楽しむために欠かせない茶器として紫砂壺を紹介しました。

紫砂壺の特徴を改めて簡単に説明すると、無数の目に見えない穴(気孔)がありお茶のアクや苦味を和らげてくれること。またこの特性によって、お茶を淹れるほどに香りや味わいが茶壷に馴染んでいくということ。つまり、使い込むほどにより美味しいお茶を淹れるることができるようになる素晴らしい茶器が紫砂壺なのです。

本日は、実際に紫砂壺でお茶を美味しく淹れる前の事前準備として「開壺(かいふー)」という慣らし作業についてご紹介します。

初めて使う前の「開壺(かいふー)」という慣らし作業

紫砂壺を手に入れたら、すぐにお茶を淹れたくなるかもしれません。実際に私も初めて紫砂壺を手に入れた時は、

「なんて可愛いフォルムなの!早く試したい!」「蓋碗と比べてお茶の味に違いはあるのかしら?」

と使いたい気持ちが先走ってしまって、危うく最初に行う重要な作業である「開壺(かいふーは中国語)」をすっ飛ばすところでした。危ない危ない。何事もやはり最初が肝心。使い始める前の下準備をきちんと行うことで、その後の紫砂壺の使用感が大きく変わります。

開壺は、壺に残っている土の匂いや粉を取り除き、お茶の味わいを引き立てるための大切な作業です。開壺をしっかり行うことで、長く紫砂壺を使い続けることができ、お茶が美味しくなります。逆に、開壺をおろそかにすると、お茶が土臭くなってしまうこともあるので、丁寧に行いましょう。

紫砂壺でお茶を楽しむための開壺(かいふー)の方法

「開壺」では、壺の表面の粉や余分な匂い、土臭さを取り除くことを目的に行います。時間に余裕がある方には、しっかりとした方法を、忙しい方にはもっとも簡単な方法をご紹介しますので、是非参考にしてみてください。

🍃丁寧に開壺をする方法 (約2〜3日)

よりしっかりと土の匂いを取り除き、茶壺にお茶の香りをなじませたい方には、茶葉を使った開壺方法がおすすめです。

1️⃣ 壺をぬるま湯で洗い、しばらく水に浸ける。
→ 埃や汚れを洗い流します。

2️⃣ 使用する予定のお茶の葉を入れ、熱湯を注ぎ1日置く。
→ 茶葉の成分が壺に浸透し、土の匂いを和らげます。この時、茶葉は壺の半分くらい入れてください。また、前述したように使用する茶葉は同じ種類もしくは同じ系統のものに限定して使うのがおすすめです

3️⃣ 翌日、茶湯を捨てて、残った茶葉で壺の表面や内側を磨く。
→ この作業を2〜3日繰り返すことで、お茶の香りが壺に馴染みやすくなります。

🍃最も簡単な開壺の方法(約30分)

そんな、何日もかけて壺をお手入れする時間なんてないよ!という方もご安心ください。最も簡単な開壺方法では約30分で下準備を終えることができます。

1️⃣ 紫砂壺をぬるま湯で軽くすすぐ。
→ 目に見えるホコリや汚れを洗い流します。

2️⃣ 紫砂壺に熱湯を満たし、5分ほど置く。
→ 壺を温め、内部の汚れを浮かせます。

3️⃣ お湯を捨て、もう一度熱湯を注ぎ5分置く。
→ この作業を2〜3回繰り返し、土の匂いを取り除いていきます。

4️⃣ 乾いた布で外側の水分を拭き取り、風通しの良い場所で自然乾燥させる。
→ 直射日光を避けて乾燥させます。

これで、紫砂壺の下準備完了です。翌日からお茶を淹れて本格的な中国茶をお楽しみください✨

紫砂壺は使い込むほどに味わいが増し、自分だけの特別な茶器へと育っていきます。開壺をしっかり行うことで、お茶の風味がより引き立ち、壺本来の良さを最大限に活かせるようになります。

まるで新しい部屋に引っ越したときに、まず掃除をしてから家具を配置するようなもの。掃除を始めてから生活を始めることで、快適で心地よい空間が生まれるように、紫砂壺も最初に手入れをすることで、その後の使い心地や味わいが格段に良くなります。引っ越したばかりの時って、何かと部屋を整える、自分好みの空間を作り上げることで頭がいっぱいになりますよね。それも理解できます。

次回のブログでは、実際に紫砂壺を使って美味しいお茶を淹れる方法と、長く愛用するためのお手入れ方法について詳しくご紹介します。紫砂壺を手に入れたばかりの方も、めんどくさいかもしれませんが、ぜひこの機会に開壺に挑戦してみてください!

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